Appleは2022年に発売したiPhone 14シリーズで4つの選択肢を用意しました。
最も人気が高いiPhone 14、最も大きな画面のiPhone 14 Plus、そして最もAppleが力を入れて開発したiPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxです。
多くの人にとってはiPhone 14で十分なはずですが、上位モデルのiPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxを選べば、何年も続いたノッチ(画面上部の凹型の部分のこと)に代わるレガシーを体験できます。
発表直後には、Appleがダイナミックアイランドと名付けたレガシーに対して「ダサい」「邪魔」といった声も多く聞かれましたが、発売から10ヶ月たった今になって評価すると大きな間違いだったようです。
目次
ダイナミックアイランド
Appleが2018年に発売したiPhone Xで導入されたノッチは、高い精度で本人を見分けられる3D顔認証と、ホームボタンと極厚のベゼル(ディスプレイ周りの黒いフチ)を廃止してデザイン性を大きく改善することに成功しました。
多くのメーカーがノッチと顔認証を真似しましたが、真似できたのは見た目だけでFace IDレベルの顔認証は実現できず、画面に指紋を乗せるだけで画面ロックを解除できるディスプレイ指紋認証とパンチホールに移行します。
後に新型コロナウイルスの感染拡大によってマスクが生活必需品になり、顔認証が役立たずになったことを考えれば、その判断は結果的に正しいものになりました。
対するAppleはマスクを付けていても顔認証が快適に動作するよう何度もアップデートを提供しますが、iPhone 14 Proでも顔認証の煩わしさは解決していません。人がマスクを手放す方が早かったようです(日本を除いて)
顔認証を実現するためのノッチですが、新型コロナによって顔認証が役立たずになったことで「ディスプレイ指紋認証にして欲しい」「iPad mini/AirのようにホームボタンにTouch IDを搭載して欲しい」という声が高まります。
もし顔認証からディスプレイ指紋認証に移行すればノッチの存在意義はなくなり、パンチホールになるでしょう。常に先手を取ってきたボディデザインも他社を真似ることになります。
Appleの決断は何度も改善を重ねてきた顔認証を手放すことなく、iPhone 14 Proではノッチを新しい前面デザイン「ダイナミックアイランド」に置き換えました。
噂の段階では、顔認証に必要なセンサーをまとめた横長の穴とフロントカメラの丸い穴を横に並べて違和感のないようにソフトウェアで穴の間を塗りつぶして2つの穴を繋げると報じられていましたが、Appleは予想のはるか上を行きます。
ダイナミックアイランドは名前のとおり画面上に浮かぶ孤島ですが、ソフトウェアと連動して、iPhoneの状況に応じてアニメーション付きで島の領域を広げ、形を変えていくつかの機能を実現します。
1つ目は iPhoneの状態変化を通知するものです。iPhoneが充電されたり、AirPodsが接続されたり、AirDropの送信/受信状況、Face IDの要求をユーザーに伝えます。
もう1つはシステムの後ろ側で動作を続けるアプリの状態を伝えるもので、タイマーの残り時間や音声通話の通話時間、マップのルート案内、テザリング(インターネット共有)のオン/オフ等が常にダイナミックアイランドに表示されます。
ダイナミックアイランドを1回タップするとアプリに戻り、長押しすると形を変えてウィジェットが表示され、曲を早回ししたり、タイマーを止めたり、音声通話を終了したりスピーカーに切り替える事も可能です。
押しつぶすように長押しによって、形が変わってウィジェットが表示されるのは確かに直感的ですが、ダイナミックアイランドのウリは、アプリに戻らなくても操作できることなので、より操作コストの少ない1回のタップでウィジェットが表示される方が便利です。
ダイナミックアイランドに表示されるアプリは最大2つ。
島に送られた順番にアプリが表示されるわけではなく、ユーザーが表示したいアプリを決めることはできません。iOSに完全おまかせです。
例えば、画面収録→マップアプリのルート案内→時計アプリのタイマーの順にダイナミックアイランドに送ると、ルート案内が最も広い面積で表示されます。残念ながらダイナミックアイランドを左右にスワイプしてもアプリの位置を入れ替えることはできません。
なお、小さく表示されたタイマーは、アイコンを長押しすることで、アプリに戻ることなくタイマーの残り時間を確認できます。
個人的に気に入ったのは、ダイナミックアイランドを使ってバッテリー残量の低下を知らせる通知です。
これまでのiPhoneでは、バッテリー残量が20%および10%になるたびに低電力モードをオンにするか提案するポップアップ画面が表示されていました。
選択肢をタップするまでiPhoneがフリーズしてゲームが止まってしまう誰も得しない画面でしたが、iPhone 14 Proならただの通知になったので邪魔されません。
ほかにもショートカットアプリを使ってアプリのアイコンをカスタマイズすると、アプリを起動するたびに巨大な通知バナーが表示されていましたが、ダイナミックアイランドではかなり控えめに表示されます。
ダイナミックアイランドはサードパーティアプリにも解放されていて、ダイナミックアイランドを長押しすると、お気に入りのアプリを即起動できるランチャーが表示される便利なアプリも公開されています。
iOS 16.1で新機能「ライブアクティビティ」も追加されました。
ライブアクティビティはスポーツの試合経過やUberやLyftなど配車の状況、MLBやNBA、ワールドカップなどサッカーのスコアをロック画面とダイナミックアイランドにリアルタイムに表示する機能です。
Uber Eatsのデリバリー状況も確認できます。ライブアクティビティはアプリの通知を無効化しても有効なため、通知をゼロにしながら必要な配達状況だけ確認することもできます。
ダイナミックアイランドに対応するアプリは限定的ではあるものの想像以上に便利です。
ノッチの存在感を消す方向で生まれたパンチホールに対して、Appleは印象的なアニメーションを付けて形を変えるなど、積極的に存在感を示す真逆のアプローチでダイナミックアイランドを開発しました。
ノッチもパンチホールも邪魔と言われることはあっても便利と言われることは決してありませんが、ダイナミックアイランドは違います。
今の段階では「これがないiPhoneには戻れない」といったところまでは到達していませんが、より多くのアプリがダイナミックアイランドに対応することで、そうなる可能性もあるでしょう。
発売から6ヶ月経って感じる不満はコントロールセンターがダイナミックアイランドに最適化されていないこと。
ノッチ付きのiPhoneはノッチの右側を下にスワイプするとコントロールセンターが表示されましたが、iPhone 14 Proでは、ダイナミックアイランドから少し離れた右側を下にスワイプしても通知センターが表示されてしまいます。これが地味にストレスです。
48MPのプロカメラ
過去数年、ソフトウェアによって画質を向上するコンピュテーショナルフォトグラフィに力を入れていたAppleですが、今年はハードウェアが大きく進化しました。
最も大きく進化したのはメインカメラがこれまでの12メガピクセルから4倍の48メガピクセルに高画素化したこと。iPhoneのカメラが高画素化したのは2015年発売のiPhone 7以来です。
センサーサイズもiPhone 13 Proに比べて65%もアップしたことに伴いカメラユニットも巨大化。本体からより大きく飛び出るようになりました。これまでケースを使っていなかった筆者ですが、ここまで巨大化するとさすがにケースを使いたくなります。
「高画素化は画質とは無関係なもの」
そう言われた時代もありました。ポスターサイズに写真を印刷しないのであれば無意味と言われることもありましたが、今はそうではありません。
最近のスマホカメラは「どれだけ光を集められるか」がトレンドです。
光をより多く集めるための直接的なアプローチは、センサーサイズを大型化することですが、カメラ専用機と違ってスマホの場合は大きさが制約されるため限界があります。そこで多くのメーカーは画素数を増やして、ソフトウェア処理によって、いくつかのピクセルを1つにまとめることで、ピクセルあたりの受光量を増幅させる方法を選択しています。
これは「ピクセルビニング」と言われる技術で高画素化競争が繰り広げられていた数十年前には不可能だったものです。当時はスマホをまともに動作させることも困難なほどチップの性能が追いついていませんでした。
高画素化とピクセルビニング自体は新しいものではなく、数年前にSamsungとXiaomiが1億800万画素を採用、Googleも50メガピクセルのメインカメラを昨年導入し、いずれもピクセルビニングに対応しています。
Appleも満を持して導入した48MPのメインカメラで撮影した写真が以下です。
4つのピクセルを1つにまとめるピクセルビニングによって12MPで出力されますが、ProRawモードを選べば、新しい機械学習モデルによって細部を捉えた48MPの写真が記録されます。
以下はProRAWで48MP撮影したもの。膨大なデータが記録されているため、1枚当たりの容量が100MBに達することもあるため12MPにリサイズしています。
48MPのProカメラシステムが実現するのは光を多く集めることだけではありません。
これまでの12MPカメラを撮影したiPhoneでは写真を切り取って拡大すると、ピクセルが足りないためボヤボヤになって見るに堪えないものでしたが、iPhone 14 Proの48MPカメラで撮影した写真は膨大なピクセルを抱えているため、1/4に切り取っても従来のiPhoneと同じ12MPです。拡大する必要がありません。
48MPという高解像度のセンサーを活かして追加されたのが光学相当の2倍ズームです。48MPで記録した画像の中央部分を切り取ることで、フルピクセルの2倍ズームを可能にしています。
カメラアプリには、2倍ズームのボタンが追加されていてワンタップで被写体に近寄ることが可能です。2倍ズームはポートレートでも利用できるため、机の上にある料理を撮る時に本当に便利です。
光学相当の2倍ズームは筆者が強く求めていたものです。
初めて望遠カメラを搭載した2016年発売のiPhone 7 Plusは2倍ズームでしたが、iPhone 12 Proで3倍ズームになったことで途端に使いにくくなりました。3倍は遠くのものを撮るには届かず、料理などちょっとした距離があるものを撮るには近すぎます。
iPhone 14 Proなら料理と距離を取るために体を仰け反らしたり、椅子を引いたりすることなく影が入らないように机の上に置かれた写真を撮れます。
2倍ズームの画質に目を向けるとピクセルビニングが適用されないため、暗所では光量が足らず、ノイズの問題も発生します。ディーテルの甘さも気になりました。Appleいわく新しい機械学習モデルによってかつてないほどの水準で細部を捉えるとのことですが、それほど素晴らしいものではありません。
3倍ズームを利用する機会は減ると思いますが、圧縮効果によって手っ取り早くスマホ離れした写真を撮りたい時には最適です。
ポートレートモードは輪郭のはっきりしたものであれば正確に機能します。何も気にせず撮っても玉ボケが勝手にできますが、被写界深度が浅くボケ感が強いため「ポートレートモードで撮りましたよ!」的な不自然な写真になることも。
また、人の髪の毛や細い茎、小さく複雑な形状の花びらなど正確に捉えられず、Pixel 6 Proと比べる見劣りすることもあります。
Pixelとの違いは夕景や夜景撮影のような光の限られたシーンでも確認できます。
実際の見た目に近いのはiPhone 14 Proですが、多くの人はより明るくノイズが少なくディテールもしっかりしたPixel 6 Proを気に入るでしょう。
新しくなった超広角レンズは、より細部を捉えられるようになったことでマクロ撮影が向上したようですが、筆者にとってマクロ撮影は使う機会がほとんどない機能です。
通常撮影では、ズームしてようやくiPhone 13 Proとの違いがわかる程度。なお、絞り値がƒ/1.8からƒ/2.2にスペックダウンしたことで、性能的には暗い仕上がりになるはずですが、大きな違いはありません。
この疑問の答えは新しいカメラ機能「Photonic Engine」にあるのかもしれません。
Photonic Engineは、Deep Fusionを非圧縮データに適用することで、暗い場所で撮影した時の性能を2-3倍に向上。ディテールの再現性が向上し、より鮮やかな写真が撮影できる機能です。
明確な違いはないものの、超広角レンズの絞り値が劣化しながらもiPhone 13 Proと変わることなく明るく撮れているのはこの機能のおかげでしょう。
フロントカメラは、より明るくなり、初めてオートフォーカスが追加されましたが違いはよくわかりません。
動画では一眼レフのように背景をぼかせる機能「シネマティックモード」が4Kに対応。映画の標準的なフレームレートの24fpsに対応したことでようやくシネマっぽい映像が撮れるようになりました。まだボカシの処理は不安定で、特に人以外には効果的ではありません。
注目の新しいビデオ機能としてAppleいわくジンバルなしでもブレのない安定した動画を撮れる「アクションモード」が追加されています。
階段を降りたり、走ってペットや子どもを追いかけたり、自転車やバイクにiPhoneを固定するような激しいブレに対して大きな効果を発揮しますが、頻繁に利用する人は限られるでしょう。
iPhone 14 pro camera is so good. This is hand held whilst cycling up a hill with action cam mode OFF. Being able to do this with sweaty hands and using physical buttons is such good UX. pic.twitter.com/lTrcDrX94q
— Andrew Philippou (@SombreroGG) September 17, 2022
なお、アクションモードで撮影するには一定量の光が必要で薄暗い場所では利用できません。出力される映像は2.8Kの最大60fpsでブレを抑えるために上下左右を大幅に切り抜きする仕様です。
カメラの発熱問題
発売から約1ヶ月利用するなかで発熱問題に遭遇しました。
通常時は特に問題ないもののカメラを長時間使用すると、動画撮影時にプレビューが頻繁に止まったり、カメラアプリを起動しようとすると画面が真っ黒になって起動できなくなります。
この問題に遭遇した場合は、カメラアプリの強制終了→カメラの起動を何度か繰り返して問題を解消する必要があります。頻繁にシャッターチャンスを逃すため、非常に困る問題です。
なお、Appleは日本時間10月11日にiOS 16.0.3をリリースしており、そのなかで「iPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxでカメラの起動やモード間の切り替えに時間がかかることがある問題」の解消が含まれているので、最新版では発生しない可能性があります。
保護ケース
カメラから大きく飛び出たカメラをキズから守るためにApple純正のシリコンケースを購入しました。
価格が高い分、手触りの良いレザーケースと、カラフルで魅力的なカラーが多いシリコンケースのどちらを購入するか迷いましたが、Apple Storeで試着した結果、シリコンケースのライラックカラーを選択。
毎年のことですが、Appleはもう少しカラーバリエーションを広げて、iPhoneの新色と相性の良いレザーケースを用意して欲しい。
シリコンケースの手触りは最高です。グリップ力も高いため、手から落ちにくい一方で、ポケットに引っかかって取り出すのが大変。
厚みのあるケースでiPhoneをしっかり保護してくれますが、その代償として4つのコーナーの丸みが大きくなって持ちやすくなった効果が無くなります。
iPhone 14 Proの持ちやすさを高く評価しているので大きさや形状の変化が少ない薄型のケースを探したところ、CASEFINITEのTHE FROST AIR ULTRAを発見。
実際に購入して数週間利用してみましたが、やはりApple純正ケースと同じように持ちにくくなってしまったので、結局は保護ケースを使用せずそのまま持ち歩いて使用しています。
常時表示ディスプレイ
ついにiPhoneが常時表示ディスプレイに対応しました。
iPhoneを放置するか、iPhone 14 Proの電源ボタンを押すと常時表示モードになり、iPhoneに触れることなく見るだけで、日付、時間、通知を一目で確認できます。単純な機能ですが、やっぱり便利です。
常時表示ディスプレイでは、画面が完全に消灯することなく、iOS 16でおしゃれにアレンジできるようになったロック画面の明るさと色合いを調整して点灯しつづけます。
音楽の再生している間はアルバムアートワークが表示され、マップアプリでルート案内中は、次とその次のルート、残りの距離、到着予想時間も表示されます。
電池を節約しながらルートを確認できるため、車でルート案内を利用する人やUber Eatsの配達員など配送業者の人にとっても嬉しい機能でしょう。
#iPhone14Pro マップのルート案内。ダイナミックアイランドと常時表示ディスプレイに対応してて良い pic.twitter.com/LQQrROHqDr
— Yusuke Sakakura🍎携帯総合研究所 (@xeno_twit) September 16, 2022
なお、常時表示ディスプレイと言っても常に点灯しているわけではなく、iPhoneをポケットに入れたり、Apple Watchを身につけている状態でiPhoneから離れるなど、iOSが不要と判断した時にはディスプレイを完全消灯したり、おやすみモードで画面をさらに暗くする(設定変更が必要)スマートな機能も備えています。
常時表示ディスプレイ自体は新しいものではなくAndroidでは数年前に実現されていた機能です。
Pixelの常時表示ディスプレイは、ロック画面の写真が非表示になり、すべてがモノクロで表示され、通知は小さなアプリアイコンで表示され、新着通知があると画面がわずかな時間だけ点灯する緊急モードのような見た目です。
一方、常時表示ディスプレイをカスタムできるAndroidに対してiPhoneはカスタムできません。あくまでもロック画面がベースです。
AndroidとiPhoneの常時表示ディスプレイは似ているようでまったくの別物です。どちらが優れているのか、どちらが好みかは分かれるところですが、個人的にはiPhoneの常時表示ディスプレイを高く評価します。
常時表示ディスプレイはアップデートによって発売以降も進化しています。
iOS 16.2では、電池消費量を節約できる壁紙の非表示オプションと、プライバシーを保護するために通知を非表示にできるオプションが追加されました。
2023年秋に配信予定のiOS 17で追加される新機能「スタンバイ」では、充電中のiPhoneを横向きにすると、離れた場所からでも一目で時間や日付など必要な情報を確認することが可能になります。
また、フォトフレームのようにお気に入りの写真を表示したり、スポーツゲームの試合経過、Uber Eatsの配達状況を表示することも可能。「Siri、天気を教えて」と話しかければ、目で天気予報を確認したり、タイマーをセットできるなどスマートディスプレイのように利用することもできます。
電池持ち
いつものようにiPhone 14 Proを入手してすぐにカメラテストに出かけて435の写真と動画を撮影してきました。
これはバッテリーテストを兼ねたものです。
目的地までのルート案内や電車の乗り換えを多用したり、Instagramで写真やご飯を食べるためのスポットを検索したり、旅行にかなり近いヘビーな使い方なのでAppleが公表してる電池持ちよりは参考になるはず。
昨年はiPhone 13で同様のテストをして210の写真と動画を撮影したところ約7時間でバッテリー切れになりましたが、iPhone 14 Proは約5時間で電池切れになりました。
写真と動画の撮影枚数が2倍以上になったことと、昨年に比べてルート案内を多用したことを考えれば2時間減は妥当なものです。
ちなみに、画面の明るさは自動調整をオフにして最大に固定しているので5時間の電池持ちは最低ライン。日常使いであれば、朝から帰宅するまで余裕で1日持つはずです。
画面の明るさといえば、iPhone 14 Proでは、日差しの強い屋外限定で明るさが標準時の2倍にアップします。
屋外でカメラを構えると眩しくてよく見えないことがありますがiPhone 14 Proなら問題なし。明るさの数値は2,000ニトで、Galaxy S22 Ultraの1,750ニトをも上回ります。
購入してから半年後の電池持ち
購入してから半年以上が経過した電池持ちも追加しておきます。iPhone 14 Proの設定は常時表示ディスプレイと画面の明るさの自動調節機能をオンにした状態です。
その日は取材だったので朝起きて予定と取材地までのルートを検索。電車での移動中はメモアプリで記事を書き上げ、取材地に着いたらインターネット共有(テザリング)を使用し、写真と動画を撮影。
次の取材までの空き時間で昼食を取るためにルート検索し、約20分動画をストリーミング視聴。次の取材と合わせて合計約2時間のインターネット共有と合計約50枚の写真・動画を撮影した時点で残りの残量が20%になりました。
トータルの使用時間は約8時間。そのうち画面オンの時間は約3時間、Wi-Fi未使用といったヘビーユースなので十分満足です。
明らかに持ちやすくなったボディ
iPhone 14 Proを手にして最初に気づいた変化は持ちやすさでした。
同じ幅にも関わらずiPhone 13 Proとは明らかに持ち感が違います。何が変わったのか最初は違いがわからなかったものの、iPhone 13 Proと見比べてみると4つのコーナーの丸みが大きくなっていて、より深く握れます。
206gのiPhone 14 Proはヘビー級の重さですが、形状が変わったことで持ちやすくなり、手にかかる負担が軽減されました。
ボディのカラーはシルバー、ゴールド、スペースブラック、ディープパープルの4色です。
スペースブラックと悩んで選んだのはディープパープル。パキッとした紫色ではなく落ち着いた紫です。Apple純正のレザーケースとの相性を考えたらスペースブラックの方が良かったかも?
日本で利用できないもの
iPhone 14 Proを含めた今年の新しい4機種には人の命を守る2つの新機能に対応しています。
1つは車の衝突事故を検出してユーザーの反応がない時に自動で緊急通報する機能です。
さすがに車を用意して衝突させるようなテストはできませんが、海外では実験動画が公開されており、実際の衝突事故とはシチュエーションが異なるものの正確に動作するようです。
iPhone 14 Proが衝突事故を検出すると、けたたましい音と共に10秒のカウントダウンが始まります。
ユーザーが意識を失うなどしてキャンセルできない場合は、再度10秒のカウントダウンが始まり、これにも反応できない場合はiPhoneが自動で緊急通報サービスに通報することでいち早く現場に駆けつけます。
スキーやスノーボードで転倒した時でも反応することから2022-23年の冬には誤通報が急増しました。
一方で、5人の死亡者が出た北海道・八雲町で起きたバス事故において、スマートフォンの衝突事故検出(iPhoneとは断定されていない)によって事故発生から10分で救急車が現場に到着したと報じられるなど、確かに役立っているようです。
もう1つは衛星通信を経由して空が開けた圏外エリアで緊急通報ができる機能です。
緊急通報に失敗した場合に衛星通信のオプションが提案され、iPhoneの画面に衛星の方向を表示してiPhoneを向けると緊急通報が可能になります。
衛星通信を利用した緊急通報サービスは、現在のところアメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、アイルランド、イギリスで利用可能。残念ながら衛星通信を使った緊急通報は日本では利用不可。料金は2年間無料、無料期間終了後の料金は現時点で発表されていません。
また、Appleは米国モデルでSIMカードスロットを廃止してeSIMに一本化しましたが、日本版のiPhone 14シリーズには、すべてSIMカードスロットが搭載されています。
5Gのミリ波も米国版以外は利用できません。日本でミリ波が利用できるスポットは一部に限られているので、気にするほどのことではないものの、数年おきにしか買い替えない人にとっては残念でしょう。
同じiPhoneでもここまでの違いがあります。もちろん日本独自機能のシャッター音も搭載されています。
まとめ:待つのもアリ。止まらない円安で今すぐ購入もアリ
It's GOOOOD!!
- 便利なダイナミックアイランド
- 待望の常時表示ディスプレイ
- 48MPのプロカメラ。復活の2倍ズーム
TOUGH...
- 最低価格は15万円から
- Lightning/USB 2.0...
iPhone 14 ProのApple Store価格は14.9万円〜に設定されています。各キャリアの価格と料金はこちらで確認してください。
Appleは2022年7月にほぼすべての商品を大幅に値上げしたこともあって昨年比で2-4万円の値上がりです。15万円以上のプレミアムな価格帯に突入したiPhone 14 Proに買い替える価値はあるのでしょうか。
新たに搭載されたダイナミックアイランドは確かに便利で、失敗に終わったMacBookのインターフェース「Touch Bar」のようにはならないでしょう。今のところ無くてはならない機能ではないものの、元には戻れない機能になる予感はします。
最新のチップセットを搭載し、カメラが大きく進化したも一方で、デザインに大きな変更はなく、Lightning/USB 2.0も変わらないままです。来年発売のiPhone 15にUSB-C搭載の可能性があることを考えれば1年待つのもありです。
ただ、円安が止まる気配がありません。1年後、それよりも早くiPhoneがさらに値上げされる可能性もあります。実際にAppleは米価格は値上げしなかったものの、日本では2022年7月の値上げから、さらに値上げを行いました。
1年待ったものの、いくつかの新色と新しいカメラ、最新のチップを搭載する手堅いアップデートと、LightningがUSB-Cに変わっただけで、2万円値上げされた時のことを考えて今のうちに買うのもありでしょう。
結局のところ多くの人が早めに購入することを決断したことで、iPhone 14 ProはApple Storeや多くの家電量販店で在庫がなくなりました。
今年はiPhone 14 ProおよびiPhone 14 Pro Maxに人気が集中しているようです。iPhoneが組み立てられている中国のロックダウンの影響で生産能力が低下し、Apple Storeのお届け予定日は5-6週間まで伸びましたが、2023年1月時点では1-2週間まで短縮されています。