申し込みのオンライン化に加えて店頭サポートを有料化することで、5G対応・データ容量20GBを月額2,970円で提供する衝撃的なプラン「ahamo」(アハモ)の発表から約1年が経ちました。
ahamo、povo、LINEMOといったオンライン専用ブランドの登場やサブブランドの値下げをキッカケに大きく変わった2021年の携帯電話料金。シェアはどうなったのでしょうか。
4年ぶりにMVNOのシェアが10%未満に
MMD研究所が2021年11月15日~11月17日の期間中に18歳~69歳の男女40,000人を対象に「2021年12月通信サービスの利用動向調査」を実施しました。
調査結果によると4大キャリアのシェアは90.7%、そのうちオンライン専用プランのシェアは6.8%、サブブランドのシェアは12.8%とのこと。
なかでも大きなトピックはMVNOのシェアが9.3%で3.0ポイントダウンを記録したことです。2020年にUQ mobileがKDDIに統合され、MVNOのシェアに計上されなくなってから初の調査で1.7ポイントダウンしましたが、それをも上回るダウンで4年ぶりにMVNOのシェアが10%を切りました。
今春登場したオンライン専用プランによってMVNOのシェアがMNOに奪われたと考えてしまうかもしれませんが、MVNOが大幅ダウンを記録した理由は楽天モバイルにあると予想されます。
今年3月に実施した調査と比較して楽天モバイルが3.8ポイントアップとなりました。楽天モバイルの契約者数は今年9月末時点で411万件に到達していて、新規受付を停止しているMVNOの契約者数は3月から約50万件減少した99万件となっています。
楽天モバイルに移行したユーザーの半数以上が以前はMVNOを利用していたと答えていますが、楽天発表の契約者数の動きを見ると、他のMVNOから大量にユーザーを獲得したというよりも大多数が楽天MVNOから移行したのではないでしょうか。
こういった動きは楽天だけではなく大手3社も変わらないようです。3月時の調査と今回の調査を比較すると、3社ともメインブランドのシェアは減ったもののメインとサブを合わせたトータルのシェアに大きな動きはないため、携帯料金を安くするために「ブランドのりかえ」によって同一キャリア内でユーザーが動いているようです。
各社好調と口にするのがサブブランドです。
今回の調査でもソフトバンクのY!mobile、KDDIのUQ mobileともに1ポイント以上のアップを記録。直近の決算で発表されたサブブランドとオンライン専用ブランドの契約者数においてY!mobileは楽天モバイルを大幅に上回る契約者数に到達しています。
スタートダッシュを見せたオンライン専用プランは契約者数の伸びが鈍化し、KDDIは基本料0円のベースプランとトッピングを組み合わせる新プランを発表しました。LINEMOも3GB・月額990円の新プランを追加するなど早くもテコ入れが始まっています。
楽天+サブブランド+オンライン専用ブランド/プラン契約者数
— Yusuke Sakakura🍎携帯総合研究所 (@xeno_twit) November 11, 2021
ワイモバイル 700万
楽天モバイル(MNO)411万
UQ mobile 300万
ahamo 200万
povo 100万
LINEMO 50万に満たないぐらい→その後非開示
1年前に誕生したオンライン専用ブランドは、当時の日本政府が海外に比べて料金が高いことを理由に携帯事業者に値下げを求めたことがキッカケです。総務省の料金比較が海外MVNOを含むものだったことから、ソフトバンクとKDDIはサブブランドでの値下げを発表しました。
当時の武田総務大臣は「しっかり対応して頂いた」と納得感を示したものの数日後に撤回し、コロナ禍における家計負担を考慮してメインブランドでの値下げを要求します。
これに対してKDDIが「国に携帯料金を決める権利はない」と発言すると、武田氏は「国が料金を決めるとかいう問題ではなく、どういうサービスを提供しなければいけないか常識で考えてわかると思う」「表の綺麗事ばっかりで国民を欺いている」と発言が過激化するなかで、総務省幹部への接待問題で話題になったドコモがMVNOとして用意していたahamoを急遽ドコモの料金プランとして提供します。
高く評価したahamoとサブブランドの違いについて武田氏はのりかえの手間と料金の違いと説明。であれば最初からサブブランドの値下げ・のりかえ時の手間と費用軽減(すでに決定および前向きに検討されていた)で良かったのでは・・・?と感じた何ともスッキリしない決着となりました。
- | MMD研究所
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